【初心者指導法の内容】
■剣道専門分科会主催「剣道の初心者指導法」は4回目を迎えた。中京大学で学習指導要領の重点項目「対人的技能」のうち、とくに「応じ技の段階的指導法」をテーマに名古屋市立鎌倉台中学校教諭の白石裕章氏をお招きし、同校剣道部の生徒20名(男子16名 女子4名)による初心者指導法の実演と、指導方法に関する活発な議論が交わされた。
■ 白石氏は「ゲーム感覚的な指導はあえて入れず、剣道の技そのものをストレートに体験させることによって剣道の特性や雰囲気を伝えたい」という立場で、座礼からはじまり、@抜き技(面抜き胴)、Aすり上げ技(面すり上げ面、小手すり上げ面)B返し技(面返し胴)の3区分4種類の技を約45分間実演し「応じ技を意識的に使った試合(6人の円陣)」と、地稽古(2分間)を全員一斉に行った。実演ののち意見交換があった。主な内容は以下の通りであり、日頃の指導に役立つ提案も沢山披露された。
・ 「中学生が技を身につけさせやすい間合い」
・ 「声の掛け合いによる応じ技練習」
・ 「導入段階での面を付けない練習」
・ 「跳躍(早)素振りの取り入れと、応じ技上達」
・ 「古流から身体技法の点検」
・ 「仕掛ける生徒と応じる生徒二者の精神的な関係の点検」
・ 「限られた時間で指導するための技の精選」
・ 「表・裏の応じ技学習が身体の中心意識を喚起させること」
・ 「生徒の意識焦点と技上達」
■ 最後に中京大学教授林邦夫氏が、「応じ技を練習することのメリットは“構えが出来てくること”。その場合、相手の動きをよく見ることを重視した指導にすると応じや捌きが上手くなるのではないか、また初心者指導の方法として「つばぜり合いからの技」の導入も一つの方法ではないか」という提案とともに「生徒自身がどうしたらよいのかを自ら考えさせたり、創造させたりすることこそ、指導者の立場にとってきわめて重要ではないかと思う。」とまとめの意見を述べ、2時間30分の熱い研究会が閉じた。
■ 詳細については武道学研究第36巻第3号を参照されたい。 (文責)数馬広二
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