平成30年度剣道専門分科会研究会
術語 「budo」「 bujutsu 」について考える
−Donn. F. Draeger の著述・修行を手がかりとして− |
平成30年度研究会を下記の日程で開催させていただきます。 皆様の奮ってご参加をお待ちしております。
日時:平成31年3月23日(土)15:30〜17:30 (日本武道学会 全国理事会終了後)
場所:明治大学中野キャンパス 高層棟 307教室
テーマ:術語 「budo」「 bujutsu 」について考える
−Donn. F. Draeger の著述・修行を手がかりとして−
コーディネーター:
長尾 進氏(剣道専門分科会副会長/明治大学教授)
パネリスト(予定):
Mr. Hunter B. Armstrong (Director, International Hoplology Society)
Mr. Phil Relnick (Katori Shinto Ryu Shidosha Menkyo (USA), Jodo 7 Dan Kyoshi)
Mr. Liam Keeley (Okuden mokuroku in Tatsumi ryu Hyoho)
コメンテーター:
酒井利信氏(筑波大学体育系教授)
Alexander Bennett 氏 (関西大学教授)
言語:日本語および英語(通訳あり)
なお当日、18:00〜19:00、一階食堂で懇話会を予定してます。参加費は2000円で、フォーラム参加者はどなたでも参加出来ます。 併せて宜しくお願いします。
※本研究会は、長尾進氏「術語 budo の示す意味内容・概念の研究:武道研究国際化における再定義と発信」 (平成30年度科学研究費助成事業基盤C課題番号18K10941)との連動企画です。
交 通:
JR中央線快速・総武線/中野駅(駅番号:JC06・JB07)下車 北口より徒歩約8分 東京メトロ東西線/中野駅(駅番号:T01)下車 北口より徒歩約8分
明治大学中野キャンパスアクセス
<開催趣旨>
日本武道学会(Japanese Academy of Budo)では、2013年と2017年に「国際武道会議」(International Budo Conference)と銘打って国際学会を開催した。そこでは、budo と martial arts について、海外の武道研究者と日本の研究者との間で認識の違いがみられた。そうしたなかで、故 Donn. F. Draeger (D.F.ドレガ−)の著作群に目を通す機会を得た。
我々日本の武道研究者は、「武術→武道」という発展図式のなかで bujutsu と budo の関係を捉えがちである。とくに、近代における西久保弘道らによる「“術”よりも、“道”の推奨」という文脈のなかで、do(道)を上位のものとして位置づけてきた流れがある。Draeger の bujutsu やbudo に対する捉え方は、上記の捉え方とはやや異なっている。それは、彼の代表的著作集であるMartial Arts and Ways of Japan (3巻。Weatherhill刊)のそれぞれのタイトル、Classical Bujutsu (Vol.1) , Classical Budo (Vol.2), Modern Bujutsu & Budo (Vol.3)に顕著に表れており、budo と bujutsu に対する視線は、基本的に平等である。
室町から徳川幕藩体制の確立へと向かう時代背景のなかから、禅をはじめとする諸文化の影響を受けつつ、あくまで自衛の手段として「和」や「平らか」であることを目指す方向性や、単なる格闘技術の習得にとどまらず、そのなかに精神的深遠さや芸術的側面を見出す方向性などに budo 的要素を見出し、それを“martial ways”と表現した。
一方で Draeger は、bujutsu についての価値も認め、Classical Bujutsu のエピローグにおいて、室町以来の古流武術が原型を留めながら現代にまで伝わっていることの理由を、神道的な「中今」(なか・いま “eternal presents”)の思想を大事にしてきたことによって説明し、古流武術を学ぶ現代的意義(日本人・外国人に関わらず)を説いている。
これらに加え、Bladed Weapons(剣術、居合術、槍術,薙刀術), Staff and Stick Weapons(棒術、杖術、鉄棒術), Composite Weapons(忍術、鎖鎌術) などの hoplology(武器学)的観点からの日本武術の分類は、弓術・馬術・剣術・槍術を武士の表芸(主要武術)とする武芸十八般的捉え方に慣れているわれわれからみると、新鮮に映る。
われわれは、budo(武道)とbujutsu(武術)について、一度フラットな地点に立ち返って考えてもいいのではないだろうか。本フォーラムのパネリストお三方は、日本において、古流武術・現代武道を Draeger とともに修行された方々である。Draeger のとらえた bujutsu や budo についてのお話を伺いながら、議論を深めていきたいと考えている。
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