2016年5月19日
日本武道学会会員 各位
日本武道学会
会長 百鬼 史訓
文部科学省『科学研究費助成事業(科研費)審査システム改革2018』に関するパブリックコメント発信について(お願い)
4月26日に科学研究費補助金に関する説明会が東京大学安田講堂で行われました。そこでは、「科研費審査システム改革2018」に関する説明が行われました。改革は、次の日程で進められることになります。
<平成28年度>
・パブリックコメントを実施(30日間程度)【4月22日〜5月21日予定】
・パブリックコメントの意見を踏まえ、科学研究費補助金審査部会及び日本学術振興会での再検討
・「科研費審査システム改革2018」の内容について審議・決定
<平成29年9月>
・平成30年度助成(平成29年9月に公募)より新しい審査システムへ移行
当日の説明資料並びに「科研費審査システム改革2018」は、次のサイトから入手可能です。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/
hojyo/__icsFiles/afieldfile/2016/04/22/
1370049_01.pdf
http://www.mext.go.jp/component/
a_menu/science/detail/__icsFiles/
afieldfile/2016/04/28/1370488
_01_1.pdf
すでに、現在「科研費審査システム改革2018」に関するパブリックコメントが求められています。締め切りは
5月21日(土)となっています。サイトは、次の通りです。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/
hojyo/1370040.htm
今回の改革の方向は、次のように説明されています。
○平成30年度科研費(平成29年9月に公募予定)からの審査は「小区分・中区分・大区分」で構成される新しい審査区分で行う。それに伴い、現行の細目表は廃止する。
○基盤研究(B,C)、若手研究(B)および挑戦的萌芽研究の審査は304の「小区分」で行い、「2段階書面審査」により採否を決定する。
○基盤研究(A)および若手研究(A)の審査は65の「中区分」で行い、「総合審査」により採否を決定する。
○基盤研究(S)の審査は11の「大区分」で行い、「総合審査」により採否を決定する。
このシステム改革には大きな問題がみられ、学会や個人として行動を起こす必要があると思われます。具体的には、次の点です。
●これまでの「複合領域」という領域は基本的になくなり、人文・社会系の領域は「大区分A」にまとめられています。われわれが関係する「健康・スポーツ科学」という分科は、新たに加わった「59010 リハビリテーション科学」と「59020 スポーツ科学」「59030 健康教育および健康科学」の3つの小区分から成り立つ「中区分59:健康科学およびその関連分野」に変わっています。
●基盤研究BとCは小区分で審査されるそうですが、
「スポーツ科学」のキーワードからスポーツ哲学・スポーツ史・スポーツ心理学・スポーツ教育学・コーチング・スポーツ文化人類学といった、教育や文化にかかわる分野が外れています。
●従来の「身体教育学A」「身体教育学B」に至っては、小区分としての独立性もなくなり、「健康教育および健康科学」という中区分の中の1つのキーワードに成り下がってしまいました。これは「身体教育」即ち「体育」が単なる健康教育に置き換えられていることを示しており、
これまで持っていたキーワード(感性の教育、運動指導論、体育科教育、身体運動文化論、武道論…)を擁する細目ではなくなることを意味しています。このような区分では、スポーツの教育的・文化的な研究は、これまでスポーツを研究対象として継子扱いにしてきたと思われる、それぞれの母体となる親科学の区分に応募しなければならなくなります。
●大型の基盤研究Aは中区分「健康科学」で審査されます。同じく基盤研究Sは大区分Iで審査されます。この大区分は医学関連分野で構成されているので、スポーツ関連の大型研究に教育・文化関連の領域は含まれないことになります。
●これまでは第一段審査の審査員と第二段審査の審査員が異なっていましたが、この改革では第一段審査の審査員が第二段審査の審査員を継続して行うことになります。今の第二段審査員は、少数が領域を問わずに選出されているので、内容が不案内な申請についても最終審査をしなければならないのですが、内容が良く分かる第一段審査員が最終審査まで行ったほうが良いということのようです。
●改革案では「身体教育学B」のキーワードは、その殆どが削除されています。「身体教育学」について、少なくとも小区分への復活、現在そこに含まれているキーワード(感性の教育、身体運動文化論、体育科教育、身体性哲学…)の復活、「スポーツ科学」に含まれているキーワード(スポーツ哲学、スポーツ史、スポーツ教育学…)の復活を求めることが考えられます。
以上のご指摘を踏まえ、会員各位には、大変急なお願いで恐縮ですが、積極的にパブリックコメントを発信して頂きたくお願い申し上げます。
以上